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空気の流れごと作品になる、モビールの魔法―いろけんさん

2009年12月04日08時01分
ほんわかしたフォルムや表情のなかに、かわいい毒や笑いをちょこっとアクセントにした、ストーリーのあるモビールを作るいろけんさん。いつも楽しいことにピンッ!とアンテナを立てているいろけんさんのアトリエにお伺いして、モビール作家になったきっかけから、その魅力、これからのビジョンについて語っていただきました。

いろけんさん/Iroken

1968年生まれ。兵庫県西宮市在住。イラストレーターを経て、現在は「SORA mobile factory」でモビール作家としてオリジナルモビールを作成。ワークショップも数多く開催。書道家やミュージシャンなどとのコラボレーション企画も手がける。今後、本の出版も予定。
ホームページ:http://bcaweb.bai.ne.jp/sora-mobile/

「『この動きこそが僕の求めていたものだ!』って、思ったんですよね」


「おとな象さん」。
フォルムや表情がかわいいのも、いろけんさんのモビールの特長。
―いろけんさんがモビール作家になったきっかけは?

もともとは10年くらい、イラストレーターをしていました。4コマ漫画とか、1コマ漫画の仕事が多かったんですね。イラストって、平面の世界のものでしょう? そのイラストを動かしてみたいなあという欲求があったんです。紙の中のイラストだけでは、しっくりこなくて悶々としていたんですよ。そんなある日、大好きなアーティスト・ハナレグミのコンサートに行ったんです。今から3~4年前のことです。そのコンサート会場のエントランスフロアに、5~6メートルくらいの大きな鳥のモチーフのモビールが飾られていて、それが、ゆらゆらと揺れ動いていたんです。その雄大さに、しばらく僕は釘付けになりました。「なんだか、いいな。なんか好きだな。すごいな……」って感動して。「この動きこそが僕の求めていたものだ!」って、思ったんですよね。

―それからモビールを作り始めたんですか?

はい。最初はとにかく、見よう見まねでモビールを作ってみました。見本もなく、作り方の“正解”もない、というか分からない。でも、作ってみたくて……。その時はまだ、すぐには仕事にしようとは思っていませんでした。モビールというものを、あまり目にすることもなかったですし、日本には普及していませんでしたから。仕事として成立するのかな? という不安もありました。

―モビールの魅力とは、どんなところですか?

モビールを作るようになったはじめの頃、写真家をしている僕の奥さんの写真展の時に、僕の作ったモビールもディスプレイしたんです。奥さんが空の写真を展示していた空間に、僕が鳥のモビールを飾りました。すると、まるで本当の空に鳥たちがゆったり飛んでいるかのような空間になりました。窓が閉まっていたとしても、人が歩いたときに起きる空気の流れで、モビールはゆるーりと動くんですよ。ゆらゆらと揺れながら、一瞬二次元の世界に行って見えなくなったり……。癒されるんですよね。写真とモビールが、空間の空気ごと作品になったように感じた瞬間、僕自身がモビールの魅力に引き込まれていったような気がします。



アトリエの天井からは、たくさんのモビールが吊り下げられている。
ほんの少しの空気の振動にもゆらりゆらりと揺れ動くモビールは、眺めていて飽きない。


―そもそもモビールというものは、どんなものですか?

モビールというのは、わずかな空気の流れにも反応して動く彫刻。天井からぶら下がって、ゆらゆらとバランスを取りながら不規則に動くオブジェのようなものです。多くは、紙・糸・針金が使われていて、そのほか、木・フェルトなど、さまざまな素材でも作られています。もともとは、デンマークの伝統工芸品として親しまれているもの。「フレンステッド」というメーカーのモビールが有名ですね。北欧の、夜が長く、寒くて暗い冬、家の中で楽しめるものとしてモビールは普及したと言われています。

モビール自体に動力はありません。基本、空気の流れに反応して動きます。 空気の流れは窓から入る風のほか、扇風機やエアコンが作る対流だったり……。でも、私たち「人」が動くことによって生まれる空気の振動が、一番相性の良い動力源なんです。少し離れたところから、モビールに向かって息を吹きかけます。しばらくすると止まっていたモビールがゆっくり動き始めまたりするんですよ! 空気って動いてるんだなあって、実感できてちょっと感動です。

―北欧の人たちは家の中で過ごす時間が長いので、モビールの存在も、大きいんですね。

ちょっと違うかもしれないんですけど、日本の風鈴に近い存在なのかも。暑い夏を少しでも涼しく過ごしたいという思いから、軒下に下げた、吊りしのぶや風鈴。わずかな風に涼やかな音を奏でる風鈴で、涼を誘う。そんな文化が日本にもありますよね。絶対必要ではないけれど、楽しむ粋な文化というか工夫というか……。そんな文化のある日本には、モビールも受け入れられる気がします。


(左)書道家・紫舟さんとのコラボイベント。書のモチーフが静かに空を舞っている。
(右)モビールのワークショップの様子。


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モビール , いろけん , いなだみほ ,

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