夢いっぱいの「ひとさじ」を―スプーン作家・アサガオ成長日記さん

2008年10月16日10時00分

1本の枝からスプーンを彫り上げる作家、アサガオ成長日記さん。ひとつひとつ、枝の個性を活かしたフォルムに、スプーンへの既成概念は払拭されてしまいます。「何をすくおうか?」と考えるのが楽しくなりそうな、夢があふれるスプーンについて伺いました。

アサガオ成長日記さん

多摩美術大学映像演劇学科卒業。2005年4月、アトリエを都内から千葉県いすみ市に移転し、本格的な創作活動を開始。彫刻刀で木彫りのスプーンを制作するほか、散歩へ出掛けて作る“音の作品”や、映像作品を手がける。定期的にアトリエを開放した展覧会を開催。
http://www.geocities.jp/asagao_nikki/
 

ライフスタイルが変わり、考え方や生き方そのものが変わった


『右利き仙人のスプーン』―ツバキ
「左利きの人には使いこなせません。
 右利きだからといって使いこなせるわけではありません。
 まずは仙人の境地を悟ることから始めて下さい」
―ものづくりをはじめたきっかけを教えてください。

最初はインディーズムービーを作っていました。その時は単純に映画を見るのが好きだったから、いっそのこと自分で作っちゃえ、みたいな感じでした。作っているうちに、知識や技術不足であることをゆっくり考えて、映像制作の学校に入学しました。

卒業後、風に吹かれるまま千葉県いすみ市に移住。環境が変わり、ライフスタイルが変わり、考え方や生き方そのものが変わっていきました。それで始めたのがスプーン作りです。

―具体的に何が変わりましたか?

簡単に言うと、都会的生活から田舎暮らしになったってことなんですが、今の家に引っ越してきてからは、いつの間にか自然と共存するような生活になりました。あえて共存の道を選んだ訳ではなく、必然的に。例えば、スプーンを作りたいなぁ……と思ったときに近所にちょうどよさそうな樹木が豊富にあるとか。

あと、もう一つ大きく変わったのは生き物に対する考え方です。自然との共存と一緒なんですが。東京に住んでいたときは植物も含め、ペットは飼わないルールを自分の中で作ってました。実家で子どもの頃ネコや犬を飼っていたので、嫌いだった訳じゃないんですけどね。それが引越してきてしばらくたってからは、いつの間にやらいろんな生き物が我が家に増えてます。

―主にどんなものを制作しているのですか?

木彫りのスプーンと音の作品です。

スプーンは、枝採取から。近所に生えている樹の、必要のない枝を切らせてもらっています。枝の皮をむいて乾燥、枝を見ながら、どの部分でどんな形のスプーンを作るか考えます。タイトルも作る前に考えます。彫刻刀で彫り、紙やすりで仕上げ、オイルを塗る。記録の写真を撮影し、タイトルを決定して、さらに物語を作ります。

音の作品は、その日の天気、環境、雰囲気などからタイトル(テーマ)を決めます。そのテーマに基づいて、録音機材を持ってお散歩に出掛け、自分がすごく好きだと感じる音を録音します。帰ってきたら、パソコンを使って録音してきた音を編集します。一回のお散歩につき、一曲が完成します。完成後、タイトルを改めて決定したら、CDケースを木で作り、タイトルを木の表紙に石粉粘土で作っていきます。


(左)「お外にテントを張って、彫刻刀でコツコツと枝を削ってスプーンは完成します」
(右)「お気に入りの籠に作業道具を詰めて、ピクニック気分で作業開始です」

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